
「歯医者さん、最後にいつ行ったっけ?」
そう聞かれて、すぐに答えられる人は意外と少ないかもしれません。
「痛くなったら行こう」「むし歯ができた気がするから行こう」と思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、この考え方こそが、あなたの歯の健康を蝕む落とし穴になっていることをご存知でしょうか。
多くの人は歯医者を「治療に行く場所」だと考えがちですが、実はそれは大きな誤解です。
歯医者は、歯の病気を治すだけでなく、歯の病気を未然に防ぐための場所でもあるのです。
■■ なぜ「痛くなったら行く」では遅すぎるのか?
歯に痛みを感じるということは、むし歯や歯周病がかなり進行しているサインです。
むし歯は初期段階では痛みを感じません。
歯の表面を溶かし、内部まで進行してようやく痛みが現れます。
この段階まで進むと、削る治療や神経を抜く治療が必要になることがほとんどです。
歯周病も同様で、初期は自覚症状がほとんどありません。
歯ぐきの炎症が軽度で、ブラッシング時に少し出血する程度。
これを「疲れているからかな」「磨きすぎたかな」と放置しているうちに、歯を支える骨が溶け始め、最終的には歯がグラグラになって抜けてしまいます。
「痛くないから大丈夫」という考えは、身体に潜む病気を見逃しているのと同じこと。
病気が進行してからでは、治療に時間も費用もかかり、何よりも大切な歯を失ってしまうリスクが高まります。
■■ 正しい歯医者の通い方:定期検診のすすめ
では、どうすれば歯の健康を守ることができるのでしょうか?
その答えは、「定期的な歯科検診」にあります。
歯医者さんでは、むし歯や歯周病のチェックだけでなく、以下のような様々なことを行っています。
・むし歯、歯周病のチェック
-肉眼では見つけにくい小さなむし歯や、歯ぐきの状態をプロの目で確認します。
・歯垢や歯石の除去
-毎日の歯磨きで取りきれない歯垢や歯石を、専門的な器具を使ってきれいに除去します。この歯石こそが、歯周病の原因となる細菌の温床なのです。
・歯磨き指導
-あなたの歯並びや磨き癖に合わせた、効果的な歯磨きの方法を教えてもらえます。
・フッ素塗布
-むし歯になりやすいお子さんはもちろん、大人にもむし歯予防に効果的です。歯の再石灰化を促し、歯を強くしてくれます。
・レントゲン撮影
-歯の内部や歯を支える骨の状態を詳しく確認します。
これらのケアを定期的に行うことで、病気の早期発見・早期治療が可能になります。
初期のむし歯であれば、削らずに済むことも少なくありませんし、歯周病も進行を食い止めることができます。
■■ 定期検診の理想的な頻度は?
「どれくらいの頻度で歯医者に行けばいいの?」
一般的に、3ヶ月から半年に一度の定期検診が推奨されています。
むし歯や歯周病のリスクは人それぞれ異なるため、歯科医師と相談してあなたに合ったペースを見つけることが大切です。
例えば、むし歯になりやすい方、歯周病が進行している方、被せ物や入れ歯が多い方などは、より短い間隔での検診が必要になることもあります。
定期検診は、あなたの口腔健康を管理するための「健康診断」だと思ってください。
身体の健康診断と同じように、定期的にチェックすることで、将来の大きなトラブルを未然に防ぐことができるのです。
■■ 歯の健康は全身の健康につながる
「たかが歯」と思っていませんか?
実は、口腔内の健康は全身の健康と深く関わっています。
歯周病菌は、歯ぐきの血管から体内に入り込み、糖尿病や心臓病、脳卒中、肺炎などの様々な病気の原因になることがわかっています。
健康な歯でしっかり噛むことは、消化を助け、脳への刺激となり、認知症予防にもつながると言われています。
おいしく食事を楽しめること、そして自信を持って笑顔になれることは、人生の質を高める上で欠かせない要素です。
■■ 歯医者さんと「パートナー」になろう
歯医者さんは、怖い場所でも、痛い治療をされる場所でもありません。
あなたの歯の健康を守るための、信頼できるパートナーです。
「痛くなったら行く」という古い考え方を捨てて、「むし歯や歯周病を予防するために行く」という新しい考え方にシフトしましょう。
定期検診を習慣にすることで、あなたは歯医者さんとの関係を「治療者と患者」から「健康管理のパートナー」に変えることができます。
あなたの歯の状態を最もよく知る専門家として、生涯にわたる口腔健康のサポートをしてくれます。
今日から、歯医者さんを身近な存在として捉え、積極的に活用してみてください。
あなたの未来の健康は、今の小さな行動から始まります。
さあ、あなたの歯を守る第一歩として、まずはかかりつけの歯医者さんに相談してみませんか?










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