
銀行手続きや金融知識に基づき、休眠預金の解約手順について分かりやすく、かつ詳細に解説する記事を作成いたしました。
読みやすさを重視し、見出しや箇条書きを活用して構成しています。
【引き出しに眠る古い通帳ありませんか?忘れ去っていた休眠預金を解約する方法】
年末の大掃除や実家の整理をしているとき、ふと引き出しの奥から「聞いたことのない名前の銀行」の通帳や、何十年も記帳していない古い通帳が出てきたことはありませんか?
「残高も数百円だし、銀行もどこにあるか分からないから捨ててしまおう」
そう思うのは少し待ってください。
たとえ少額であっても、それはあなたの大切な資産です。また、場合によっては数万円、数十万円の残高が眠っている可能性もあります。このような、長期間取引がない預金を「休眠預金」と呼びます。
この記事では、金融機関の手続きに詳しい筆者が、複雑に見える休眠預金の解約手続きを、準備から窓口での対応まで徹底的に解説します。
これを読めば、手元の古い通帳を現金化し、スッキリとした気持ちで資産管理ができるようになります。
■■ 1. そもそも「休眠預金」とは何か?
手続きに入る前に、少しだけ基礎知識を押さえておきましょう。
一般的に、最後の取引(入出金など)から10年以上が経過した預金のことを「休眠預金」と呼びます。
● 2018年の法改正で何が変わった?
2018年1月、「休眠預金等活用法」が施行されました。これにより、10年以上放置された預金は、預金保険機構に移管され、NPO法人などの活動支援(子ども食堂や被災地支援など)に使われることになりました。
ここで多くの人が誤解しがちなのが、「没収されてしまうのではないか?」という点です。
【重要】安心してください。お金は戻ってきます。
法律で活用されることになっても、預金者としての権利は失われません。手続きさえすれば、元本と利息を含めていつでも引き出すことが可能です。
ただし、放置しておくと、いざ引き出そうとしたときに手続きが煩雑になり、時間がかかることは間違いありません。見つけた「今」が、解約のベストタイミングなのです。
■■ 2. 【事前準備】銀行へ行く前に確認すべき3つのこと
いきなり通帳を持って銀行へ駆け込むのはおすすめできません。
古い通帳の場合、銀行自体が存在していない(合併している)ケースや、持ち物が足りずに二度手間になるケースが多いからです。
● ① 銀行の「現在の名前」を調べる
古い通帳には「三和銀行」「さくら銀行」「富士銀行」など、今はなき銀行名が書かれていることがよくあります。
度重なる合併により、現在の銀行名がどこになっているかを調べる必要があります。
・ インターネット検索を活用する: 「(旧銀行名) 現在」や「(旧銀行名) 合併」と検索すれば、すぐに現在の銀行名が分かります。
・ 銀行協会の案内を見る: 全国銀行協会のウェブサイトなどでも変遷を確認できます。
● ② 届出印(ハンコ)を探す
これが最大の難関かもしれません。
当時どのハンコを使っていたか覚えていますか?
もし見つからない場合でも手続きは可能ですが、「印鑑喪失」の手続きが追加で必要になり、本人確認書類のハードルが少し上がります。
● ③ 通帳の「種類」を確認する
・ 普通預金: 基本的にいつでも解約可能です。
・ 定期預金: 満期を過ぎていれば解約可能ですが、古い定期預金は手続きに時間がかかることがあります。
■■ 3. 【実践編】休眠預金解約の完全ステップ
それでは、具体的な手続きの流れを順を追って解説します。
● STEP 1:必要書類を揃える
まずは以下のセットを用意しましょう。
- 古い通帳・証書(見つかっている場合)
- 届出印(見つからない場合は、新しく登録する認印と本人確認書類を多めに用意)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど、顔写真付きのものがベスト)
- キャッシュカード(もしあれば)
Note: 結婚などで姓が変わっている場合は、旧姓と新姓のつながりが分かる戸籍謄本が必要になることがあります。事前に銀行へ電話で確認することを強くおすすめします。
● STEP 2:来店予約をする(重要)
最近の銀行、特に大手都市銀行は、窓口業務を縮小しており、「完全予約制」または「予約優先」となっていることがほとんどです。
飛び込みで行くと、2時間以上待たされたり、最悪の場合は当日の受付を断られたりすることもあります。現在の銀行のウェブサイトから、最寄りの支店の来店予約を取りましょう。
※口座を開設した支店でなくても、同じ銀行の近くの支店で手続き可能な場合がほとんどですが、古い口座の場合は「取立(とりたて)」という手続きになり、後日振込になるケースもあります。
● STEP 3:窓口での手続き
窓口で「古い通帳が出てきたので解約したい」と伝えれば、行員が案内してくれます。
・ 磁気不良の可能性:
古い通帳は磁気が弱まっており、ATMでは使えないことがほとんどです。窓口で再発行や解約処理をしてもらいます。
・ 印鑑照合:
届出印を持参した場合、銀行側で印鑑照合を行います。昔の紙の台帳と照合するため、少し時間がかかることがあります。
・ 住所変更:
引っ越しをしている場合、住所変更手続きも同時に行う必要があります。
● STEP 4:払い戻し
手続きが完了すると、その場で現金を受け取るか、現在のメインバンクへ振り込んでもらうことができます(他行への振込には手数料がかかる場合があります)。
もし、同じ銀行で現在も使っている口座があれば、そこへ入金してもらうのが最もスムーズです。
■■ 4. こんな時はどうする? トラブルシューティング
よくあるトラブルと対処法をまとめました。
● Q. 通帳も印鑑も見つからないが、口座があるはず。
A. 照会は可能です。
銀行の窓口で「預金有無の調査」を依頼できます。ただし、本人確認書類が必要で、場合によっては調査手数料がかかることもあります。「〇〇支店で作った記憶がある」といった情報があるとスムーズです。
● Q. ゆうちょ銀行(旧郵便局)の古い通帳が出てきた。
A. 「2007年」が運命の分かれ道です。
ゆうちょ銀行は少し特殊です。民営化(2007年10月1日)以前に預けた「定額郵便貯金」「定期郵便貯金」などは、満期から20年2ヶ月を経過すると権利が消滅(本当にお金が戻らなくなる)する可能性があります。
通常の「通常貯金(今の普通預金)」は解約できますが、定額貯金等の証書が出てきた場合は、一刻も早く郵便局へ行って確認してください。これは他の銀行にはない最大のリスクです。
● Q. 亡くなった親の古い通帳が出てきた。
A. 「相続手続き」になります。
これは本人の解約ではなく相続になります。
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産分割協議書(または相続人全員の印鑑証明書)
など、非常に多くの書類が必要です。少額(数千円など)の場合は、簡易的な手続きで済む銀行も増えていますが、まずは銀行に「相続での解約」であることを伝えて必要書類リストをもらうところから始めましょう。
■■ 5. デジタル時代の「休眠預金」予防策
苦労して解約ができたら、もう二度と休眠預金を作らないようにしましょう。
- 口座の断捨離: 使っていない口座は、この機会に全て解約する。
- 銀行アプリの活用: 通帳レス(Web通帳)に切り替え、スマホで常に残高を見える化しておく。
- 住所変更をサボらない: 銀行からの重要なお知らせが届かなくなると、口座の存在を忘れがちになります。
■■ まとめ:お金以上の価値がある「整理」
古い通帳の解約手続きは、平日の日中に銀行へ行く必要があったり、書類を揃えたりと、確かに面倒な作業です。
しかし、手続きを終えて手元に戻ってきた現金は、まさに「臨時ボーナス」です。数千円であっても、美味しいランチを食べたり、欲しかった本を買ったりするには十分な金額かもしれません。
そして何より、「気になっていた古いものを処分し、資産を整理できた」という達成感は、お金以上のスッキリ感をもたらしてくれます。
次の休日は、ぜひ引き出しの奥を探検してみてください。そこには、あなたが忘れていた「過去の自分からの贈り物」が眠っているかもしれません。










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