
持ち家の所有者が今すぐやるべき地震対策について、「ハザードマップ」「耐震チェック」「地震保険」の3つの柱を中心に、徹底的に解説します。
■■ 持ち家の人必見!今やるべき【住まいの地震対策】ハザードマップ・耐震チェック・地震保険を徹底解説
地震大国である日本において、持ち家を守り、家族の安全を確保することは、私たち所有者にとって最も重要な責務の一つです。
特に大規模地震の発生が懸念される今、「備えあれば憂いなし」の精神で、適切な地震対策を講じる必要があります。
本記事では、持ち家を持つあなたが「今」やるべき地震対策として、「ハザードマップの確認」「住まいの耐震チェック」「地震保険の再点検」の3つに焦点を当て、その具体的な手順と重要性を詳しく解説します。
■■ 1. あなたの住まいのリスクを知る:【ハザードマップの確認と活用】
地震対策の第一歩は、「自分の住んでいる場所がどのような災害リスクを抱えているか」を正確に把握することです。そのための最重要ツールがハザードマップです。
● ハザードマップとは
ハザードマップは、自然災害による被害を予測し、その被害範囲を地図上に示したものです。
地震対策においては、主に以下のリスク情報を確認します。
・液状化の可能性:
地震の揺れによって地盤が液体状になり、建物が沈んだり傾いたりする現象が起こる危険性。埋立地や砂地の造成地などで特に注意が必要です。
・津波・高潮の浸水想定:
海岸線に近い地域や河川沿いの地域では、地震による津波や高潮の浸水深と範囲。
・土砂災害の危険箇所:
急傾斜地の近隣では、地震の揺れやその後の降雨によるがけ崩れや土石流の危険性。
・建物の倒壊リスク:
特定の地域における火災の延焼リスクや、古い木造家屋密集地帯での建物の倒壊リスク。
● 活用方法と対策
お住まいの自治体のホームページや窓口で、最新のハザードマップを入手し、自宅の位置、通勤・通学路、避難経路を重ね合わせて確認しましょう。
| リスクの具体例 | 実施すべき対策の例 |
|---|---|
| 液状化の危険性が高い | 地盤改良工事の検討、免震・制震装置の導入、重い家具の固定を徹底する。 |
| 津波・高潮の浸水想定区域内 | 垂直避難(建物の高層階への避難)の場所の確認、避難経路の複数確保。 |
| 土砂災害の危険箇所 | 早期避難の準備、がけの補強工事の検討(所有地の場合)。 |
| 火災の延焼リスクが高い | 住宅用火災報知機の設置、隣家との境界付近の整理、消火器の準備。 |
ハザードマップの確認は一度きりでなく、定期的に(例えば、自治体の更新時や引っ越し時に)行うことが重要です。
■■ 2. 揺れに強い家に:【住まいの耐震チェックと補強】
地震による被害で最も深刻なのが、建物の倒壊です。持ち家が「いざ」という時に家族を守れる構造になっているか、耐震性をチェックし、必要に応じて補強することが極めて重要です。
● 住宅の耐震性の基準
日本の建築基準法では、大きな改正が何度か行われ、特に「新耐震基準」が非常に重要なポイントとなります。
| 基準名 | 制定時期 | 概要と特徴 |
|---|---|---|
| 旧耐震基準 | 1981年(昭和56年)5月31日まで | 中規模の地震(震度5程度)で建物が倒壊・損壊しないこと。 |
| 新耐震基準 | 1981年6月1日以降 | 大規模な地震(震度6強~7)で倒壊・崩壊しないことを目標とする。 |
1981年6月1日以前に着工された建物(特に旧耐震基準で建てられた建物)は、現在の基準に比べて耐震性が劣る可能性が高く、最優先でチェックが必要です。
● 耐震チェックの具体的な手順
- 簡易的な自己診断:
インターネットや自治体提供のツールで、建物の築年数、基礎のひび割れの有無、壁の配置、屋根材の種類などをチェックします。 - 専門家による診断(耐震診断):
地方自治体が助成制度を設けている場合が多い、「耐震診断」を専門の業者に依頼します。
これは、建物の図面や現地調査に基づき、耐震評点を算出し、具体的な補強箇所を提案してもらうためのものです。 - 耐震改修工事の実施:
診断の結果、耐震性が不十分と判断された場合は、耐震壁の増設、基礎の補強、屋根の軽量化などの改修工事を行います。
多くの場合、自治体の補助金制度を利用できますので、積極的に活用を検討しましょう。
耐震改修は、ご自身の資産と命を守る「最大の備え」です。躊躇せず、専門家への相談を進めてください。
■■ 3. 万が一の損失に備える:【地震保険の徹底解説と見直し】
地震による損害は、火災保険ではカバーされません。建物の再建や生活の立て直しに必要な資金を確保するためには、地震保険への加入が不可欠です。
● 地震保険の基本と特徴
・独立した契約ではない:
地震保険は、火災保険とセットでしか加入できません。
・補償額に上限がある:
地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30%~50%の範囲で設定され、建物は5,000万円、家財は1,000万円が上限と定められています。全額補償ではない点に注意が必要です。
・損害の認定:
損害の程度により、「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4段階で認定され、それに応じた保険金が支払われます。
● 今すぐやるべき地震保険の「見直し」ポイント
持ち家の所有者は、加入済みであっても以下のポイントで見直しをかけましょう。
① 補償の対象の再確認(建物と家財)
・建物:
建物本体だけでなく、門、塀、ガレージといった「付属建物」も保険の対象に含まれているか確認。
・家財:
高価な家財(美術品、貴金属など)は保険の対象外となるケースや、別途特別な契約が必要な場合があります。また、家具家電、衣類などの一般家財についても、現在の生活水準に見合った保険金額か見直しましょう。
② 評価額の妥当性のチェック
建物の評価額(保険の対象となる金額)が、再築に必要な費用に見合っているかを確認します。
新築時から時間が経過し、物価や建築費が高騰している場合、現在の保険金額では再築費用をまかなえない可能性があります。
③ 保険料の割引制度の活用
地震保険には、耐震性に応じた割引制度があります。
・耐震等級割引: 耐震等級1~3に応じて割引(最大50%)。
・免震建築物割引: 免震建築物に適用(最大50%)。
・建築年割引: 1981年6月1日以降に新築された建物に適用(10%)。
・耐震診断割引: 地方公共団体等の耐震診断などで規定の基準を満たした場合に適用(10%)。
もし、耐震改修を行った場合や、建物の築年数が新耐震基準を満たしているにも関わらず割引が適用されていない場合は、すぐに保険会社に相談し、保険料の削減と適切な補償の両立を目指しましょう。
■■ 持ち家を守るための【今すぐ行動リスト】
この記事で解説した対策を、具体的な行動に落とし込みましょう。
- ハザードマップの確認:
自治体のウェブサイトからハザードマップ(地震、液状化、津波など)を入手し、自宅のリスクを把握する。 - 避難計画の策定:
家族会議を開き、避難場所、避難経路、災害時の連絡方法を決定・共有し、家族分の防災グッズ(3日~7日分)を準備する。 - 耐震性のチェック:
築年数が古い建物(特に1981年以前)は、自治体の補助金制度を利用して、専門家による耐震診断を受ける。 - 家具の固定:
すべての重い家具(タンス、冷蔵庫、本棚)を、L字金具やポールで壁や天井に固定する。寝室にある家具は特に徹底する。 - 地震保険の見直し:
現在の火災保険・地震保険の契約書を確認し、建物・家財の補償額が再建・生活再建に十分か、また割引制度が適用されているかを確認する。
地震対策は、「面倒だから」と後回しにして良いものではありません。
持ち家は人生最大の資産であり、家族の命を守る砦です。この機会に徹底的に見直し、揺るぎない安心を手に入れましょう。










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