節水を意識した生活は、環境への配慮だけでなく、家計の節約にも直結する賢い選択です。
特に水の使用量が多い料理、お風呂、洗濯といった日常の場面で「ちょっとした習慣」を見直すだけで、大きな節水効果が期待できます。
ここでは、家庭の主婦や主夫の皆様が、無理なく継続して実践できる、具体的な節約習慣を詳しくご紹介します。
■■ 1. キッチン(料理・食器洗い)での節水習慣
キッチンでの節水は、調理中や洗い物の工夫によって大きく成果が変わります。水を流しっぱなしにしない意識を持つことが基本です。
● 調理中の「ため洗い」と「水の再利用」
・野菜・米は「ため洗い」を徹底する
- 野菜や果物を洗う際は、流水ではなく、洗い桶やボウルに水をためて洗います。流水で5分間洗い物をすると約60リットルの水を使うのに対し、ため洗いにすることで大幅に水の使用量を削減できます。
- お米を研ぐ際も、ボウルに水をためてサッと研ぎ、水を替える動作を繰り返します。
- 再利用のアイデア: お米のとぎ汁や野菜を洗った水は、すぐに捨てずに、植木や庭への水やり、または拭き掃除の「まき水」として活用しましょう。
- 茹で汁は二次利用を考える
- パスタや野菜を茹でた後の湯(茹で汁)は、冷めた後、食器のつけ置きや掃除に再利用できます。特に茹で汁にはデンプン質などが含まれており、油汚れを浮かす効果も期待できます。
● 後片付けの「下準備」と「洗い方」の工夫
- 油汚れは「拭き取り」を徹底する
- 食器やフライパンについた油汚れは、洗う前に古い布やペーパータオル、新聞紙などで拭き取ってから水洗いをしましょう。これにより、必要な水の量が減るだけでなく、使用する洗剤の量も減り、排水の汚れを抑えることにもつながります。
- 食器は「つけ置き洗い」を基本にする
- 食器はすぐに洗うのではなく、洗い桶などに水をためてつけ置きしておくと、汚れがふやけて落としやすくなります。すすぎの際も、溜め水で一気に洗い流すことで、流水を使い続けるよりも節水効果が高まります。
- 手洗いする場合は、すすぎ以外は蛇口をこまめに開け閉めする習慣をつけましょう。
- 食洗機の活用
- 食洗機は手洗いに比べて節水効果が高い機種が多くあります。ただし、容量に対して少なすぎると逆に非効率になるため、ある程度まとめて洗うようにしましょう。
■■ 2. お風呂(入浴・シャワー)での節水習慣
家庭で最も水を使う場所の一つがお風呂です。特にシャワーの使い方と残り湯の活用が節水の鍵となります。
● シャワーの「時間」と「使い方」の見直し
- シャワーは「出しっぱなし」にしない
- シャワーは1分間に約12リットルの水を使うとされています。髪や体を洗っている間は、こまめにシャワーを止めましょう。これにより、1日あたりで大きな節水効果が得られます。4人家族が朝晩の歯磨きで水を出しっぱなしにすると、1年間で約35,000本以上の500mlペットボトル分の水を無駄にするという試算もあり、こまめな開け閉めの重要性がわかります。
- ヘッドを節水型に替える
- シャワーヘッドを、空気を混ぜて水量を減らす「エアイン機能」や、微細な水滴で浴び心地を保つ「ミスト機能」などの節水型シャワーヘッドに替えることも、手軽にできる有効な手段です。従来のシャワーヘッドと比べて約30%の節水効果がある製品もあります。
● お湯の再利用と「まとめて入浴」
- 続けて入浴する
- 家族が入浴する際、時間を空けず続けて入るようにしましょう。お湯の温度が下がり足し湯や追い焚きをする回数が減り、水とガス(エネルギー)の両方の節約につながります。
- 残り湯の徹底活用
- 浴槽の残り湯は、すぐに捨てずに洗濯、掃除(ふき掃除、まき水)、庭の散水、洗車などに積極的に再利用しましょう。一般的な浴槽(200リットル)の残り湯を洗濯に利用するだけで、大きな節水効果が得られます。特に洗濯の「洗い」の工程に残り湯を使うのは、水温が高く汚れ落ちが良いというメリットもあります。
- 残り湯に少量の洗剤を入れておくと、雑菌の繁殖を抑える裏ワザもあります。
- 浴槽の「かさ増し」
- 浴槽に500ml程度のペットボトルなどを数本沈めておくと、その分だけ必要なお湯の量を減らす「かさ増し」になり、節水につながります。
■■ 3. 洗濯での節水習慣
洗濯は、洗濯機の使い方と回数を工夫することで節水できます。
● 洗濯回数の見直しと「まとめ洗い」
- まとめて洗う回数を減らす
- 洗濯物は容量に対して少なすぎると、かえって水や電気の無駄遣いになります。洗濯物の量を溜めて、洗濯機の容量の8割程度を目安にまとめて洗うようにしましょう。例えば、容量6kgの洗濯機で4割入れて洗うよりも、8割入れて回数を半分にすると、約50リットルの節水になります。
- すすぎ方は「ためすすぎ」を選ぶ
- 洗濯機のコースを選ぶ際、水を流しっぱなしにする「注水すすぎ」ではなく、水を溜めて行う「ためすすぎ」の設定を選びましょう。
● 残り湯の積極的な活用
- お風呂の残り湯を使う
- 前述の通り、お風呂の残り湯を洗濯の「洗い」に利用しましょう。最近の洗濯機には、残り湯をくみ上げるポンプやホースが標準装備されているモデルも多く、手軽に実践できます。残り湯の再利用で、1回あたり約50リットルもの節水につながる可能性があります。
- ただし、すすぎにはきれいな水道水を使うようにしましょう。
■■ その他の生活空間での節水習慣
料理、お風呂、洗濯以外でも、小さな工夫で節水は可能です。
- トイレのレバーを使い分ける
- 水洗トイレの洗浄レバーは、汚物の量に応じて「大」と「小」を適切に使い分けましょう。「小」で十分なのに「大」を回していませんか?毎日何度も使う場所だからこそ、その積み重ねが大きな節約につながります。
- 歯磨き・洗顔時はコップを使う
- 歯磨きや洗顔の際、水を流しっぱなしにすると、30秒間で約6リットルの水を使います。歯磨きはコップに水を汲んで、洗顔は洗面器に水をためて行うことで、無駄な水の流れを防ぎます。歯磨きでコップを使うだけで、流しっぱなしに比べて約5リットルの節水になります。
- 節水型機器への切り替え
- 新築やリフォーム、家電の買い替えのタイミングで、節水型トイレや節水型洗濯機などの機器を積極的に選ぶことで、日々の努力なしに大きな節水効果が得られます。
■■ 結び:意識を変えることが節水の第一歩
節水は、個々の「もったいない」という意識と「こまめに水を止める」という小さな習慣の積み重ねによって実現します。今回ご紹介した習慣は、どれもすぐに始められることばかりです。
今日から一つずつ実践して、家計に優しく、地球にも優しい節水生活を送りましょう。










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