
10年後、倒産する可能性が高い業界は一体どこでしょうか?多くの人は、明らかに衰退している業界ばかりを想像しますが、一見きらびやかに見える業界にも、大きなリスクが潜んでいます。ここでは、経済動向、技術革新、社会構造の変化など、さまざまな要素から見て、10年後に倒産リスクが特に高いと考えられる業界を具体的に分析していきます。
■ 1. 従来型のアパレル業界
従来型のアパレル業界は、近年すでに深刻な状況にあります。ファストファッションの台頭による価格競争の激化、サステナビリティ意識の高まりによる消費者の購買行動の変化、さらにはECやD2Cブランドの急成長が、旧来の実店舗型ブランドに大きな打撃を与えています。
特に、持続可能な消費や循環型経済へのシフトが進む中、大量生産・大量廃棄型のビジネスモデルは社会的にも批判を浴び、消費者離れを引き起こす要因となっています。また、デジタル化対応が遅れている企業も多く、オンライン市場に適応できない企業は淘汰される可能性が非常に高いでしょう。
■ 2. テレビ放送業界(地上波)
テレビ業界、特に従来型の地上波放送局は、インターネットの普及とともに視聴者数の激減に直面しています。ネットフリックス、アマゾンプライム、YouTubeなどの動画配信サービスが主流となり、若年層を中心にテレビ離れが加速しています。広告収入の大幅な減少が予測される中で、収益構造の変革に失敗すれば倒産リスクが顕在化します。
すでに多くの広告主はターゲティング可能で効果測定が明確なオンライン広告にシフトしており、この傾向は今後ますます顕著になるでしょう。コンテンツ制作の質と柔軟な配信方法に対応できない放送局は、財政的に追い込まれる可能性があります。
■ 3. 百貨店・大型商業施設
百貨店や大型商業施設は、オンラインショッピングやECモールの台頭により苦戦が続いています。特に新型コロナウイルスの流行を契機として、消費者がオンラインショッピングの利便性に慣れたことで、店舗型の大型施設への集客力は大幅に低下しています。
また、維持コストが高く、収益モデルが店舗での直接販売に依存するため、今後10年で劇的なビジネスモデルの転換がなければ倒産のリスクが非常に高いでしょう。都心部でも空き店舗が増え始め、既に多くの店舗が閉鎖を余儀なくされています。
■ 4. パチンコ業界
パチンコ業界は、既に規制強化、若者の娯楽の多様化、ギャンブル依存症対策の社会的要請により大きな打撃を受けています。政府のギャンブル規制強化に伴い、市場規模は縮小の一途をたどっています。今後もさらなる規制が予測されており、特に中小規模の店舗は経営難に陥る可能性が高いでしょう。
さらに、娯楽のデジタル化が進み、オンラインカジノやゲームなどの新しい形態の競争相手も台頭しているため、変化に対応できない旧来のパチンコ店舗は淘汰されることが予想されます。
■ 5. ガソリンスタンド・燃料小売業
自動車産業の電動化(EV化)が加速する中、ガソリンスタンドなどの燃料小売業も10年後には大きなリスクにさらされます。世界各国でガソリン車の販売禁止や規制強化が進んでおり、EVや水素自動車などの普及が確実に進んでいます。
新しいエネルギー供給インフラへの転換が急務となっていますが、資金や技術面での対応力が乏しい中小規模の燃料小売業者は淘汰される可能性が高まります。
■ 6. 地方銀行業界
地方銀行業界は、人口減少、高齢化、地域経済の衰退に伴い、長期的に厳しい経営環境に置かれています。特に地域密着型の小規模な地方銀行は、融資先の減少、収益力の低下、デジタル化への遅れなどが重なり、収益性が大幅に悪化しています。
また、Fintech企業の台頭や、スマートフォンを通じたオンラインバンキングの普及により、従来型の銀行ビジネスモデルが崩れつつあります。規模の小さい地方銀行は、今後の業界再編の中で吸収合併されるか、倒産のリスクに直面することになります。
■ まとめ:一見きらびやかでも要注意
以上の分析からも分かるように、10年後に倒産リスクが高い業界は、単に規模が小さい、業績が悪いという理由だけでなく、消費者の行動変化、規制強化、技術革新といった外部環境の変化に対応できない企業が多い業界です。
投資やキャリア選択においては、一見華やかに見える業界であっても、これらのリスク要因を慎重に分析し、長期的な視野で判断をすることが重要です。将来を見据えて柔軟かつ迅速に対応できる業界や企業を選ぶことが、リスク回避の最善策となるでしょう。
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