
新NISA(新NISA制度)の拡充に伴い、「教育資金もすべてNISAで運用すればいいのではないか」「学資保険は増えないから不要」という声が増えています。
しかし、結論から言うと「新NISAがあるから学資保険は完全に不要」とは言い切れません。
学資保険が持つ最大の特徴は「運用の増えやすさ」ではなく、「万が一の際の確実な保障」と「強制的な貯蓄力」にあります。教育資金の準備においては、家庭の資産状況、リスク許容度、そして保護者の性格によって最適な選択肢が異なります。
本記事では、金融のプロの視点から、新NISA時代における学資保険と新NISAの比較、それぞれの強み・弱み、そして「あえて学資保険を選ぶべき家庭」の条件について、徹底的に解説します。
1. 「学資保険は増えない」と言われる理由と現状
学資保険は長年、教育資金準備の王道として親しまれてきましたが、近年の低金利環境下では「返戻率(支払った保険料に対して受け取れる満期金・学資金の割合)」が低下していました。
返戻率の現状と過去の比較
- バブル期〜1990年代前半: 返戻率が150%〜200%を超えるような超高利回りの商品が存在しました。
- マイナス金利導入以降: 100%を割り込む(元本割れ)商品や、18年預けても103〜105%程度にしかならない商品が増加しました。
- 近年の変化: 2023年以降の金利上昇局面に伴い、一部の学資保険では予定利率の引上げが行われ、返戻率が105%〜110%程度まで回復し始めています。
しかし、新NISAで期待できる全世界株式(オール・カントリー)やS&P500などのインデックス投資の想定年利(年3%〜7%程度)と比較すると、資産の増えるスピードという点では学資保険が大きく見劣りするのは事実です。
2. 学資保険と新NISAの徹底比較
教育資金を準備するにあたり、学資保険と新NISAにはどのような違いがあるのかを整理します。
| 比較項目 | 学資保険 | 新NISA(つみたて投資枠など) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 万が一の保障 + 確実な貯留 | 非課税での長期資産形成 |
| 収益性(増えやすさ) | 低〜中(返戻率100〜110%程度) | 中〜高(市場運用による複利効果) |
| 元本保証 | あり(途中解約しない限り確実) | なし(元本割れのリスクあり) |
| 万が一の保障 | あり(保険料払込免除特約) | なし(運用残高のみ引き継ぎ) |
| 流動性(引き出し易さ) | 低い(途中解約は元本割れリスク) | 高い(いつでも売却・引き出し可能) |
| 節税効果 | 生命保険料控除(年間最大4万円軽減) | 運用益・分配金が永久非課税 |
3. 学資保険の知られざる3つの強み
新NISAに比べて増え幅が小さい学資保険ですが、投資にはない強力なメリットが3つあります。
① 保険料払込免除特約(最大の強み)
契約者(親)が死亡したり、高度障害状態になった場合、それ以降の保険料の支払いは免除され、満期金や学資金は当初の予定通り満額受け取れるという仕組みです。
新NISAの場合、積立途中で親に万が一のことがあった場合、その時点で積立はストップし、それまでに増えた資産しか残りません。
② 強制的な貯蓄効果と解約ペナルティ
学資保険は毎月口座から自動で引き落とされ、途中で解約すると元本割れする可能性が高いため、「途中で使ってしまう」リスクを強制的に防ぐことができます。
③ 生命保険料控除による節税効果
支払った保険料は「一般生命保険料控除」の対象となり、所得税や住民税の負担を毎年軽減できます。実質的な利回りを計算する際、この節税分を加味すると数字が改善します。
4. 新NISA時代に「あえて学資保険を選ぶべき家庭」の条件
以上の特徴を踏まえ、新NISAが全盛となった現在でも学資保険を選ぶ価値が高い家庭のタイプは以下の通りです。
あえて学資保険を選ぶべき家庭
├── 1. 元本割れのリスクを1円たりとも許容できない家庭
├── 2. 投資知識がなく、暴落時に売却してしまう恐れがある家庭
├── 3. 貯蓄が苦手で、あれば使ってしまう家庭
└── 4. 自身に万が一があった際、教育資金のバックアップがない家庭
1. 高校・大学入学時の資金確保で「絶対に元本割れ」させたくない家庭
株価は長期的に上昇する傾向がありますが、お子様が18歳になるタイミングで株式市場が暴落しているリスク(暴落リスク)はゼロではありません。大学の入学金や授業料は支払期限が厳格に決まっているため、「回復するまで数年待つ」という選択ができません。絶対に動かせない確実な現金を作りたい場合は学資保険が適しています。
2. リスク許容度が低く、暴落に耐えられない家庭
投資経験が浅く、一時的な資産の減少(20%〜30%の下落など)にストレスを感じて途中で売却してしまう可能性がある場合は、最初から確実に増える学資保険を選んだ方が安全です。
3. 家計管理が苦手で、手元にお金があると使ってしまう家庭
新NISAは自由に引き出せるため、住宅の購入、車の買い替え、旅行などで取り崩してしまうリスクがあります。「教育資金専用の鍵をかける」という意味で、学資保険の流動性の低さはメリットになります。
5. 専門家が推奨するハイブリッド型(併用)戦略
学資保険と新NISAは「どちらか一方を選ぶ」必要はありません。両者の強みを組み合わせたハイブリッド戦略が最も現実的で安全なアプローチです。
「ベースは学資保険、上乗せは新NISA」
- 学資保険(ベースの確保)
- 目標:大学入学時に確実に必要な最低限の費用(例:200万円〜300万円)
- 理由:保険料払込免除特約で親の万が一に備えつつ、元本を100%確保する。
- 新NISA(上乗せの準備)
- 目標:インフレ対策や仕送り、海外留学、私立進学などのプラスアルファ費用(例:200万円〜400万円)
- 理由:全世界株式やS&P500などのインデックスファンドに毎月積立投資し、長期運用で資産の拡大を狙う。
この方法をとることで、万が一の暴落時でも学資保険の満期金で最低限の学費をカバーしつつ、市場が好調であればNISAの運用益で手厚い教育資金を用意することができます。
6. まとめ:我が家に合った最適な選択をするために
新NISAの誕生により資産形成の選択肢は大きく広がりましたが、「学資保険=古い・不要」と一概に決めつけるのは危険です。
教育資金準備で最も重要なのは「お子様が進学するタイミングで、必要な資金が確実に手元にあること」です。
- 完全リスクオフ(確実性重視) → 学資保険を中心に設計
- バランス重視(確実性+成長性) → 学資保険と新NISAの併用
- 完全リスクオン(効率重視) → 新NISA(+掛け捨ての定期保険で万が一に備える)
ご自身の家計状況、リスク許容度、そして親としての万が一への備えを踏まえ、最適な組み合わせを選択してください。










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