認知症の親が狙われた!巧妙な詐欺から財産を守るための緊急対策と具体的な事例解説

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「まさか、うちがこんなことに巻き込まれるなんて……」

もし、あなたやあなたの大切な家族が認知症と診断されたら、将来への不安は尽きないでしょう。その中でも、特に深刻になりがちなのが、お金に関するトラブルです。認知症の症状が進行すると、判断能力が低下し、悪意ある第三者から狙われやすくなったり、ご自身で不適切な契約を結んでしまったりするリスクが高まります。

「泣き寝入りするしかないのか…」と絶望する前に、具体的な事例から学び、解決策と予防策を知っておくことが大切です。ここでは、実際に起こりうるお金のトラブル事例を詳しく解説し、どうすればその悲劇を避けられるのかを考えていきましょう。


■■ 泣き寝入りするしかない…認知症の方が巻き込まれたお金のトラブル事例

認知症の方が巻き込まれるお金のトラブルは多岐にわたります。巧妙な手口で近づいてくる悪質な業者から、家族間での金銭トラブル、さらにはご自身の判断能力の低下からくる思わぬ事態まで、そのパターンは様々です。

◆ 事例1:悪質な訪問販売・点検商法による高額契約

これは最も典型的なトラブルの一つです。

Aさんの事例:不要なリフォーム契約と高額請求

70代のAさんは一人暮らし。数年前から物忘れがひどくなり、認知症の初期段階と診断されていました。ある日、「屋根の点検に来ました」と突然訪問してきた業者に、「このままでは家が倒壊する危険がある」「今すぐ工事しないと大変なことになる」と巧みに不安を煽られました。判断能力が低下していたAさんは、その言葉を鵜呑みにしてしまい、通常の相場の3倍以上もする高額な屋根のリフォーム契約を結んでしまいました。

後日、離れて暮らす長男が実家を訪れた際、不自然に綺麗になっている屋根と、高額な請求書を発見。Aさんに問いただしても、「誰か来たのは覚えているけど、よくわからない」と話が噛み合いません。契約書の内容も理解できておらず、すでに工事は完了し、費用も一部支払われていました。

【問題点と背景】:

・認知症による判断能力の低下:
Aさんは業者の言葉を冷静に判断する能力が失われていました。

・悪質な業者の手口:
不安を煽り、考える時間を与えずに契約を急がせる手口は典型的な詐欺の手法です。

・クーリングオフ期間の経過:
契約から時間が経ち、クーリングオフの期間が過ぎてしまうと、契約の解除が難しくなります。

・家族の気づきの遅れ:
離れて暮らす家族が異変に気づくのが遅れたことも、被害拡大の一因です。

このケースでは、最終的に弁護士に相談し、消費者センターの協力を得て業者と交渉しましたが、全額を取り戻すことは非常に困難でした。一部返金には応じてもらったものの、泣き寝入りに近い形で解決せざるを得ませんでした。


◆ 事例2:特殊詐欺(オレオレ詐欺、還付金詐欺など)の被害

特殊詐欺は、認知症の方に限らず、幅広い年代で被害が出ていますが、特に判断能力が低下した高齢者はターゲットになりやすい傾向があります。

Bさんの事例:息子を騙る詐欺に騙され、大金を送金

80代のBさんは、軽度の認知症と診断されていました。ある日、息子を名乗る人物から「大変なことになった。会社の書類をなくしてしまって、今すぐお金が必要なんだ。誰にも言わないでほしい」という電話がかかってきました。声がいつもと違うことに少し違和感を覚えましたが、「大変な状況だから仕方ない」と思い込み、指定された口座に数百万円を送金してしまいました。

数日後、実家を訪れた本物の息子がその話を聞き、詐欺だと発覚。しかし、すでに送金されたお金を取り戻すのは至難の業です。銀行に連絡しても、一度送金されたお金の凍結は難しく、詐欺グループの手に渡ってしまえば、ほぼ回収は不可能です。

【問題点と背景】:

・認知症による状況判断能力の低下:
息子が困っているという状況を冷静に判断できず、焦りから指示に従ってしまいました。

・家族への連絡、相談の不足:
誰にも言わないようにと指示されたことで、ご家族に相談する機会が失われました。

・警察への通報の遅れ:
詐欺だと発覚した時点で、すぐに警察に通報することが重要ですが、気が動転して対応が遅れることがあります。

特殊詐欺は、被害に遭ったお金が戻ってくるケースは極めて稀です。金融機関や警察が注意喚起を行っていても、ターゲットは巧妙な手口で高齢者を狙い続けます。


◆ 事例3:親族間での金銭トラブル・財産使い込み

認知症の親の財産を巡って、親族間でトラブルになるケースも少なくありません。

Cさんの事例:親族による預貯金の無断引き出し

数年前に夫を亡くしたCさん(80代)は、認知症が進行し、日常生活の支援が必要な状態でした。Cさんの介護は、長男が主に担っていましたが、離れて暮らす次男がCさんの銀行口座から何度か高額な現金を引き出していることが発覚しました。次男は「母の介護費用に使った」「家の修繕費にあてた」と主張しましたが、具体的な使途が不明瞭で、明らかに不自然な支出が多数ありました。

長男が追及すると、次男は「兄ばかりが介護しているから、自分は財産をもらう権利がないのか」と逆ギレ。Cさん自身は認知症が進行しており、状況を理解できる状態ではありません。誰が正しいのか、どこまでが妥当な支出なのかを判断することが困難な状況です。

【問題点と背景】:

・認知症による財産管理能力の喪失:
Cさん自身が自分の財産を管理したり、金銭の出入りを把握したりする能力を失っていました。

・家族間での財産管理の不透明さ:
誰が、どのようにCさんの財産を管理するのかが明確でなかったため、無断での引き出しが発生しました。

・親族間の不信感:
財産を巡るトラブルは、それまでの親族関係の不満や不信感が表面化することがあります。

・証拠の不足:
何に、いくら使われたのかを明確に証明できる書類が少ない場合、問題を解決することが難しくなります。

このケースでは、弁護士を介して話し合いを行いましたが、感情的な対立が深く、解決には多くの時間と労力を要しました。場合によっては、訴訟に発展するケースもあり、家族関係が完全に破綻してしまうこともあります。


◆ 事例4:悪徳な投資話や金融商品の購入

判断能力が低下していると、儲け話に安易に乗ってしまうことがあります。

Dさんの事例:元本保証を謳う詐欺的な投資話

Dさん(70代)は、定年退職後に趣味で株式投資を少し行っていました。しかし、認知症の初期症状が出始め、判断力が鈍くなっていました。そんなDさんに、知人を装った人物から「元本保証で必ず儲かる」「今だけの特別優遇枠」といった甘い言葉で、実体のない架空の投資話を持ちかけられました。Dさんは、普段なら疑うような内容にもかかわらず、その話を信用してしまい、退職金の大半を投資してしまいました。

数ヶ月後、その人物とは連絡が取れなくなり、投資したはずのお金も戻ってきません。Dさんの家族が異変に気づいた時には、すでに詐欺師は姿を消しており、Dさんの大切なお金はすべて失われていました。

【問題点と背景】:

・認知症による判断力の低下:
詐欺的な投資話の危険性を見抜くことができませんでした。

・知識不足と情報収集能力の低下:
複雑な金融商品を理解し、自分で情報収集して真偽を確かめることが困難でした。

・「自分だけは大丈夫」という誤った過信:
認知症初期の方の中には、自身の判断能力の低下を認めず、「自分は大丈夫」と思い込んでいる場合があります。

このようなケースでは、お金を取り戻すことは非常に困難です。多くの場合、詐欺師は手口が巧妙で、足がつかないように準備しているため、被害届を出しても解決に至らないことが多いのが実情です。


◆ 事例5:不要なサービスや商品の継続購入・契約

判断能力が低下すると、不要なものを買ってしまったり、必要のない契約を続けてしまったりすることもあります。

Eさんの事例:新聞の複数購読と不要な宅配サービスの継続

一人暮らしのEさん(80代)は、中程度の認知症と診断されていました。新聞の訪問販売員が来ると、すでに購読しているにもかかわらず、別の新聞社とも契約してしまい、同じ新聞が何部も届くようになりました。また、以前から利用していた食料品の宅配サービスも、冷蔵庫に食材が溢れているにもかかわらず、毎回大量に注文し続けていました。

Eさんのご自宅を訪問する介護ヘルパーが、複数の新聞や大量の未開封の食材に気づき、ご家族に連絡。ご家族がEさんに確認しても、「買った覚えがない」「また配達員が来たから契約した」などと、状況を正確に把握できていませんでした。

【問題点と背景】:

・認知症による状況判断能力の低下:
自分がすでに同じものを購入していることや、必要ないものを判断する能力が低下していました。

・契約内容の理解不足:
サービスの内容や費用を正確に理解できず、無意識に契約を更新したり、追加契約をしたりしていました。

・販売員の倫理的問題:
認知症の症状があることを認識しながら、契約を促す販売員の問題も大きいと言えます。

この事例では、契約解除の手続きは可能でしたが、払いすぎた新聞代や宅配サービス料を全額取り戻すことはできませんでした。このような少額の契約でも、積み重なると大きな金銭的損失につながります。


■■ 泣き寝入りを避けるために今できること

これらの事例からわかるように、認知症の方がお金のトラブルに巻き込まれた場合、一度失われたお金を取り戻すことは非常に困難です。しかし、泣き寝入りを避けるための対策は存在します。重要なのは、トラブルが起こる前に、あるいは初期の段階で対策を講じることです。

  1.  家族や周囲の早期発見と連携

・日頃からのコミュニケーション:
離れて暮らしていても、定期的に連絡を取り、会話の中から異変に気づく努力をしましょう。電話での会話だけでなく、実際に会って様子を見ることも大切です。

・金銭管理の異変に気づく:
ATMでの高額な引き出し、不審な出費、身に覚えのない請求書がないかなどを定期的に確認しましょう。

・信頼できる専門家との連携:
かかりつけ医や地域包括支援センターなど、認知症に関する相談ができる専門機関とつながりを持っておきましょう。

  1.  法的な対策の検討

・成年後見制度の利用:
判断能力が低下した方を法的に保護し、財産管理や身上監護を支援する制度です。ご本人の判断能力が低下している場合は、家庭裁判所に申し立てを行うことで、成年後見人(または保佐人・補助人)が選任されます。これにより、不必要な契約の取り消しや財産の管理が可能になります。

・任意後見契約の締結:
ご本人の判断能力が十分なうちに、将来認知症になった場合に備えて、信頼できる人に財産管理などを任せる契約です。これにより、ご本人の意思を尊重した形で支援を受けることができます。

・家族信託(民事信託)の検討:
家族に財産の管理や処分を託す仕組みです。成年後見制度よりも柔軟な運用が可能で、特定の使い方を指定することもできます。ただし、専門的な知識が必要となるため、弁護士や司法書士に相談しましょう。

  1.  金融機関との連携

・代理人届出制度の利用:
一部の金融機関では、家族が代理人として口座の入出金手続きなどを行える制度があります。ただし、利用条件や手続きは金融機関によって異なります。

・預貯金口座の凍結・制限:
状況によっては、本人の意思能力が著しく低下している場合、金融機関に相談して預貯金口座の引き出し制限や凍結を検討することも必要です。ただし、これは生活費の確保とのバランスを考慮する必要があります。

  1.  消費者センターや弁護士への相談

・トラブル発生時の対応:
不審な契約を結んでしまったり、詐欺の被害に遭ってしまった場合は、すぐに消費者ホットライン188や地域の消費生活センター、または弁護士に相談しましょう。早期の相談が解決への鍵となります。

・証拠の保全:
契約書、請求書、不審な電話の履歴、送金記録など、関連する書類や情報をすべて保管しておきましょう。

  1.  日頃からの防犯意識の向上

・詐欺の手口を知る:
警察や自治体、金融機関が発行している詐欺に関する情報を確認し、どのような手口があるのかを知っておきましょう。

・キャッシュカードや通帳の管理:
認知症の方が一人で管理することが難しい場合は、ご家族が安全な場所で管理することも検討しましょう。

・迷惑電話対策:
迷惑電話フィルターやナンバーディスプレイなどを活用し、不審な電話に出ないように対策をしましょう。


認知症と診断されたからといって、すべてを諦める必要はありません。適切な知識と対策があれば、お金のトラブルから大切な家族を守り、安心して生活を送ることができます。「もっと早く知っていれば…」と後悔することのないよう、今からできることを始めましょう。

もし、今現在、すでにトラブルに巻き込まれていてお困りの場合は、一人で抱え込まず、すぐに専門家や相談窓口に連絡してください。あなたの声が、泣き寝入りを避けるための一歩となります。

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