
2024年に始まった新NISA制度によって、多くの方が人生で初めて本格的な投資をスタートさせました。
しかし、投資を始めて間もない時期に市場の大きな下落に直面すると、不安や焦りから誤った判断をしてしまいがちです。
日経平均株価の急落は、投資初心者にとって大きな試練となりますが、同時に正しい投資行動を学ぶ貴重な機会でもあります。
本記事では、市場の下落局面で特に初心者が陥りやすい「やってはいけない投資行動」を詳しく解説し、長期的な資産形成を成功させるための考え方をお伝えします。
■■ やってはいけない投資行動その1: パニック売却
● なぜ危険なのか
市場が大きく下落すると、含み損を抱えた投資家は「これ以上損失が拡大する前に売却しなければ」という恐怖に駆られます。
しかし、このパニック売却こそが、最も避けるべき行動です。
株式市場は歴史的に見ても、短期的には大きく変動しますが、長期的には右肩上がりの成長を続けてきました。
暴落時に売却してしまうと、その後の回復局面での利益を逃すことになります。
実際、過去の金融危機やショック安の多くは、数年以内に株価が回復しています。
● 積立投資の本質を理解する
新NISAで積立投資を選択したということは、「長期・分散・積立」という投資の王道を実践しようと決めたはずです。
積立投資の最大の強みは、価格が下がった時にも定期的に購入を続けることで、平均購入単価を下げられる「ドルコスト平均法」の効果にあります。
暴落時に売却してしまえば、この仕組みの恩恵を受けられなくなるどころか、安値で手放すという最悪の結果を招きます。
■■ やってはいけない投資行動その2: 積立の停止
● 「様子見」の落とし穴
市場が不安定になると、「いったん積立を止めて、相場が落ち着いてから再開しよう」と考える方がいます。一見合理的に思えるこの判断も、実は大きな機会損失につながります。
市場がいつ底を打つかは、プロの投資家でも正確に予測することは不可能です。「様子見」をしている間に相場が回復してしまい、結果的に高値で買い直すことになるケースが少なくありません。
● 下落局面こそ積立のチャンス
むしろ、株価が下落している時期は、同じ金額でより多くの口数を購入できる絶好の機会です。将来的に市場が回復した際、この時期に購入した分が大きなリターンを生み出します。
歴史的なデータを見ても、市場の下落局面で積立を継続した投資家の方が、停止した投資家よりも最終的なリターンが高くなる傾向があります。
■■ やってはいけない投資行動その3: 一括投資への切り替え
● 「今が底だ」という誤った判断
市場が大きく下落すると、「今が絶好の買い時だ」と考え、手元の資金を一気に投入しようとする方がいます。しかし、これは非常にリスクの高い行動です。
相場に「底」があるとしても、それがどこなのかは後になってみないと分かりません。下落がさらに続く可能性も十分にあり、一括で投資した後にさらに大きく下がれば、精神的なダメージは計り知れません。
● 投資方針の一貫性を保つ
新NISAで積立投資を選択したのは、リスクを分散しながら着実に資産を増やすという戦略があったはずです。市場の短期的な動きに反応して投資方針を変更することは、当初の計画を台無しにしかねません。
感情に流されず、最初に決めた投資方針を貫くことが、長期的な成功の鍵となります。
■■ やってはいけない投資行動その4: 過度な情報収集とSNSの閲覧
● 情報過多が招く不安
市場が荒れると、ニュースやSNSで様々な情報や意見が飛び交います。
「さらなる暴落が来る」「世界経済は終わりだ」といった悲観的な情報に触れ続けると、冷静な判断ができなくなります。
特にSNSでは、極端な意見や不安を煽るような投稿が拡散されやすく、それらに影響されて誤った投資判断をしてしまう危険性があります。
● 情報との適切な距離感
長期投資において重要なのは、日々の市場の動きに一喜一憂しないことです。必要最小限の情報収集に留め、短期的なノイズに惑わされない姿勢が大切です。
四半期や半年に一度、ポートフォリオを確認する程度で十分です。
むしろ、日々の値動きをチェックしすぎることで、不要なストレスを抱え込み、誤った判断をするリスクが高まります。
■■ やってはいけない投資行動その5: 投機的な商品への乗り換え
● リスクの高い商品への誘惑
損失を早く取り戻したいという焦りから、レバレッジ型商品や個別株、仮想通貨など、よりリスクの高い商品に手を出してしまう方がいます。
これは「損失を取り戻すためにギャンブルをする」ような行動で、さらに大きな損失を招く可能性があります。
● 分散投資の重要性を再認識
新NISAの積立投資で一般的に選ばれる投資信託は、多数の銘柄に分散投資することでリスクを抑えています。
この分散効果を捨てて、特定の商品に集中投資することは、投資ではなく投機に近い行動です。
市場の下落局面でこそ、分散投資の重要性を再認識し、当初の投資戦略を守ることが求められます。
■■ 正しい投資行動とは
● 1. 継続すること
最も重要なのは、設定した積立を淡々と継続することです。
市場の動きに関わらず、機械的に投資を続ける姿勢が、長期的な資産形成の基盤となります。
● 2. 長期的な視点を持つこと
新NISAは最長で無期限に非課税で運用できる制度です。
10年、20年、30年という長期スパンで考えれば、目先の下落は小さな波に過ぎません。「時間を味方につける」という投資の基本原則を忘れないでください。
● 3. 自分の投資方針を信じること
投資を始める際に立てた計画や目標を思い出しましょう。
短期的な市場の動きに振り回されず、自分が決めた投資方針を信じて継続することが、成功への近道です。
■■ まとめ
日経平均の大暴落は、投資初心者にとって大きな試練ですが、同時に投資の本質を学ぶ貴重な機会でもあります。
パニック売却、積立の停止、一括投資への切り替え、過度な情報収集、投機的商品への乗り換えといった「やってはいけない投資行動」を避けることが何より重要です。
新NISAという優れた制度を活用し、長期・分散・積立という投資の王道を愚直に実践すれば、市場の短期的な変動を乗り越え、着実に資産を増やしていくことができます。
今日の暴落は、10年後には単なる通過点に過ぎないでしょう。
冷静さを保ち、長期的な視点で投資を続けることが、新NISA投資家としての成功への確実な道なのです。










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