新規ファンドの甘い誘惑に注意!アクティブ運用で失敗しないための投資信託選択の基本ルールとは

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投資信託の世界では、新しいファンドが定期的に設定され、魅力的なコンセプトやキャッチフレーズで投資家の関心を集めます。特にアクティブファンドは、ファンドマネージャーの手腕によって市場平均を上回るリターンを目指すとして注目されがちです。しかし、新規設定のアクティブファンドには多くのリスクとデメリットが潜んでおり、投資初心者は特に慎重になる必要があります。

■■ 1. 実績の不透明性

 ◆ 過去のパフォーマンスデータが存在しない

新規設定のファンドの最大の問題点は、過去の運用実績が一切存在しないことです。投資判断において過去のパフォーマンスは重要な指標の一つですが、新規ファンドではこれが全く確認できません。

ファンドマネージャーが他のファンドで優秀な成績を収めていたとしても、新しいファンドの投資戦略や運用スタイル、投資対象が異なれば、過去の成功が再現される保証はありません。市場環境の変化、チーム体制の違い、ファンド規模の相違など、様々な要因が運用成果に影響を与えるためです。

 ◆ 運用方針の実効性が不明

新規ファンドでは、運用方針や投資戦略が書面上では魅力的に見えても、実際の市場での実効性は未知数です。理論的には優れた戦略でも、実際の運用では想定外の困難に直面する可能性があります。特に複雑な投資戦略を採用するファンドほど、理論と実践のギャップが大きくなる傾向があります。

■■ 2. 高額な手数料負担

 ◆ 販売手数料の問題

新規設定のアクティブファンドは、多くの場合、販売会社にとって高い収益性を持つ商品として位置づけられています。そのため、販売手数料(購入時手数料)が3%前後と高く設定されることが一般的です。100万円投資した場合、最初から3万円が手数料として差し引かれ、実質的な投資元本は97万円からスタートすることになります。

この高い販売手数料を回収するだけでも相当な運用成果が必要となり、投資家にとって不利なスタートとなります。

 ◆ 継続的な信託報酬負担

アクティブファンドの信託報酬は、一般的にインデックスファンドよりも大幅に高く設定されています。年率1.5%〜2.0%程度の信託報酬は珍しくなく、これは投資金額に対して毎年継続的に発生するコストです。

長期投資において、この高い信託報酬は複利効果によって投資成果に深刻な影響を与えます。仮に年率2%の信託報酬を20年間支払い続けた場合、その累積効果は投資成果を大幅に圧迫することになります。

■■ 3. 流動性とファンド規模の問題

 ◆ 初期段階での小規模資産

新規設定されたファンドは、当初の資産規模が小さく、十分な分散投資を行うことが困難な場合があります。小規模なファンドでは、理想的なポートフォリオを構築するために必要な銘柄数や投資金額を確保できず、投資戦略を十分に実行できない可能性があります。

また、ファンド規模が小さいと、運用コストが割高になりやすく、効率的な運用が困難になることもあります。

 ◆ 早期償還のリスク

新規設定されたファンドが市場の関心を集められず、資金流入が期待通りに進まない場合、運用会社は早期償還を決定する可能性があります。ファンドが償還されると、投資家は強制的に換金を余儀なくされ、予定していた長期投資戦略が実行できなくなります。

特に市場環境が悪化した際に償還が決定されると、投資家は損失を確定させられる可能性が高くなります。

■■ 4. マーケティング重視の商品設計

 ◆ 話題性を重視した投資テーマ

新規設定のアクティブファンドは、多くの場合、その時点での話題性の高い投資テーマに基づいて設計されます。AI、再生可能エネルギー、バイオテクノロジーなど、メディアで注目されている分野をターゲットにすることで、投資家の関心を引こうとします。

しかし、話題性の高いテーマは、既に市場で過熱気味に評価されている可能性が高く、ファンド設定時点では投資妙味が薄れている場合が少なくありません。「買い時」を逃した状態でのファンド組成となるリスクがあります。

 ◆ 販売効率を優先した構造

新規ファンドの設計は、必ずしも投資家の利益を最優先に考えられているとは限りません。販売会社の収益性や、運用会社のマーケティング戦略が優先され、投資家にとって最適な商品構造になっていない可能性があります。

複雑な仕組みや特殊な投資手法を採用することで差別化を図ろうとする結果、投資家にとって理解しにくく、不透明な商品になってしまうこともあります。

■■ 5. 運用チームの経験不足

 ◆ 新しい投資戦略への適応

新規設定のファンドでは、運用チームがその特定の投資戦略や投資対象に関して十分な経験を積んでいない可能性があります。理論的な知識はあっても、実際の運用における様々な局面での判断力や対応力は、経験を通じてのみ身につくものです。

市場の急変時や予想外の事態が発生した際に、適切な判断を下せるかどうかは、過去の経験に大きく依存します。

 ◆ チーム体制の安定性

新規ファンドでは、運用チーム体制が十分に固まっていない可能性があります。チームメンバー間の連携や意思決定プロセス、リスク管理体制などが運用開始後に調整される場合があり、初期段階での運用に不安定要素を含む可能性があります。

■■ 6. 代替選択肢の存在

 ◆ 実績のある既存ファンドの活用

投資目的に応じて、新規ファンドではなく、長期間の運用実績を持つ既存のファンドを選択することで、より安定した投資成果を期待できます。既存ファンドであれば、過去のパフォーマンス、運用チームの経験、市場環境変化への対応力などを事前に評価できます。

 ◆ インデックスファンドとの比較

アクティブファンドを検討する前に、同じ投資対象のインデックスファンドと比較検討することが重要です。多くの研究結果が示すように、長期的にはアクティブファンドの大部分がインデックスファンドのパフォーマンスを下回る傾向があります。

特に手数料差を考慮すると、インデックスファンドの優位性はさらに明確になります。

■■ まとめ

新規設定のアクティブファンドには、実績の不透明性、高額な手数料負担、流動性リスク、マーケティング重視の商品設計、運用経験の不足など、多くのリスクとデメリットが存在します。

投資初心者にとって、これらのリスクを適切に評価し、管理することは非常に困難です。投資の基本原則である「リスクとリターンのバランス」「分散投資」「長期投資」を考慮すると、新規設定のアクティブファンドよりも、実績のある既存ファンドやコストの安いインデックスファンドを選択する方が、より安全で確実な投資成果を期待できるでしょう。

投資判断においては、魅力的に見える新商品に飛びつくのではなく、慎重にリスクとメリットを比較検討し、自身の投資目的とリスク許容度に最適な選択肢を見つけることが重要です。

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