新NISA運用開始後の正しい資産管理方法とは?ほったらかし投資の落とし穴と適切な見直しタイミングを専門家が解説

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NISA(少額投資非課税制度)は、日本における投資を促進するための非課税制度であり、特に2024年から始まった新NISAは、非課税保有限度額の拡充や非課税投資枠の再利用が可能になるなど、より柔軟で魅力的な制度へと進化しました。この新NISAの登場により、多くの人々が積立投資を始め、長期的な資産形成を目指しています。

積立投資の魅力は、「ドルコスト平均法」と呼ばれる手法によって、価格変動リスクを抑えながら、着実に資産を積み上げていける点にあります。毎月一定額を自動的に投資することで、高値掴みのリスクを減らし、市場の変動に一喜一憂することなく、感情に左右されない投資が可能になります。そのため、「一度設定したら、あとはほったらかしで大丈夫」というイメージを持っている方も少なくないでしょう。

しかし、本当に積立設定後は「ほったらかし」のままで良いのでしょうか?結論から言うと、基本的には「ほったらかし」で問題ありません。むしろ、短期的な値動きに一喜一憂して頻繁に売買を繰り返すことは、非課税メリットを享受しきれなかったり、手数料を無駄に支払うことになったりする可能性もあるため、避けるべきです。

とはいえ、完全に「ほったらかし」にしてしまうのは、資産形成の機会を損失したり、リスクを適切に管理できなかったりする原因にもなりかねません。定期的な見直しは、長期的な視点での資産形成において非常に重要です。では、具体的にどのような点に注意し、どのようなタイミングで見直しを行うべきなのでしょうか。本記事では、新NISAの積立設定後に必要な資産見直しのポイントと、避けるべきNGパターンについて詳しく解説していきます。


■■ 新NISAの積立設定後も「ほったらかし」でOKな基本的な考え方

新NISAにおける積立投資は、多くの場合、インデックスファンドへの投資を通じて行われます。インデックスファンドは、日経平均株価やS&P500などの特定の株価指数に連動するように設計された投資信託であり、個別の企業分析を行う必要がなく、少額から分散投資が可能です。

● ドルコスト平均法によるリスク軽減効果

積立投資の最大のメリットは、ドルコスト平均法を活用できる点です。これは、毎月一定額を買い付けることで、価格が高い時には購入量を少なく、価格が安い時には購入量を多くするという手法です。これにより、平均取得単価を平準化し、高値掴みのリスクを軽減しながら、長期的に安定したリターンを目指すことができます。

● 時間の分散効果

積立投資は、時間をかけて投資を行うことで、短期的な市場の変動に影響されにくくなります。市場は常に変動しており、いつが「底値」でいつが「天井」なのかを正確に予測することは誰にもできません。積立投資は、そうした予測の不確実性を排除し、時間の分散効果によってリスクを抑制します。

● 感情に左右されない投資

投資において、人間の感情は時に最大の敵となります。市場が上昇すれば「もっと買っておけばよかった」と後悔し、下落すれば「損をしたくない」と狼狽売りをしてしまうことがあります。積立投資は、あらかじめ設定したルールに基づいて自動的に投資が行われるため、こうした感情的な判断に流されることなく、冷静に投資を続けることができます。

これらの理由から、新NISAの積立設定後は、基本的には「ほったらかし」で問題ありません。しかし、だからといって完全に放置してしまうのは、せっかくの制度の恩恵を最大限に活かせない可能性もあります。


■■ 新NISAの積立設定後に避けるべきNGパターン

完全に「ほったらかし」にしてしまうことが問題となるのは、以下のようなNGパターンに陥ってしまう場合です。

● NGパターン1:頻繁な売買や積立設定の変更

「ほったらかし」の真逆の行動が、市場の短期的な値動きに一喜一憂し、頻繁に売買を繰り返したり、積立設定をコロコロ変えたりすることです。

・狼狽売り、追証買い:
市場が下落した際に不安になり、保有資産を売却してしまう「狼狽売り」や、逆に市場が急騰した際に乗り遅れまいと焦って購入してしまう「追証買い」は、ドルコスト平均法のメリットを打ち消し、結果的に高値掴みや安値売りにつながる可能性が高いです。

・非課税メリットの喪失:
新NISAは年間投資枠が設定されており、一度売却してしまうと、その売却分の非課税投資枠は翌年まで再利用できません。頻繁な売買は、せっかくの非課税枠を有効活用できず、結果として税負担が増える可能性があります。

・手数料の無駄:
売買のたびに手数料が発生する商品の場合、頻繁な売買は無駄なコストを発生させ、リターンを圧迫します。

● NGパターン2:ポートフォリオのリバランスを全く行わない

積立投資を続けると、購入した投資信託や株式の価格変動により、当初設定した資産配分(ポートフォリオ)が崩れていくことがあります。例えば、株式が大きく上昇すれば、ポートフォリオ全体に占める株式の割合が大きくなり、リスクが偏ってしまう可能性があります。

● NGパターン3:ライフイベントの変化に対応しない

人生には、結婚、出産、住宅購入、退職など、様々なライフイベントがあります。これらのイベントによって、資産運用の目的やリスク許容度は大きく変化する可能性があります。

・リスク許容度の変化:
例えば、住宅購入資金が必要になったり、子どもが独立して教育費の負担が減ったりするなど、ライフステージの変化によって、取れるリスクの度合いは変わってきます。

・目標達成時期の変化:
「いつまでに、いくら必要か」という目標が変化すれば、それに合わせて投資戦略も見直す必要があります。

● NGパターン4:市場環境の変化に全く目を向けない

短期的な値動きに反応する必要はありませんが、世界経済の大きなトレンドの変化や、投資先のインデックスの構成銘柄の見直しなど、長期的な視点での市場環境の変化にはある程度目を向ける必要があります。


■■ 新NISAの積立設定後に必要な資産見直しポイント

では、どのようなタイミングで、どのような点に注意して見直しを行えば良いのでしょうか。

● 見直しポイント1:定期的なポートフォリオのリバランス

ポートフォリオのリバランスとは、時間の経過とともに変化した資産配分を、当初設定した目標の割合に戻すことです。

・リバランスの目的:
 – リスクの再調整: 値上がりした資産の比率を下げ、値下がりした資産の比率を上げることで、ポートフォリオ全体のリスクを適切な水準に保ちます。
 – 目標達成の確実性向上: 長期的な目標達成に向けて、過度なリスクを取りすぎないように調整します。
   
・リバランスの頻度:
厳密なルールはありませんが、年に1回や半年に1回など、定期的なタイミングを決めて行うのがおすすめです。ライフイベントがあった際など、大きな変化があった際にも検討しましょう。

・リバランスの方法:
 – 買い増し: 割合が少なくなった資産を買い増すことで調整します。新NISAの非課税枠を有効活用できるため、基本的にはこの方法が推奨されます。
 – 一部売却と買い直し: 割合が多くなった資産を一部売却し、少なくなった資産を買い直す方法です。新NISAの場合、売却した非課税枠は翌年まで使えない点に注意が必要です。

● 見直しポイント2:ライフイベントに応じた投資戦略の調整

前述の通り、ライフイベントは投資戦略を見直す絶好の機会です。

・リスク許容度の再評価:
結婚や出産、住宅購入など、大きなライフイベントが発生した際には、家族構成や将来の支出計画を考慮し、自身のリスク許容度を改めて評価しましょう。独身時代よりもリスクを抑えた運用が必要になるかもしれません。

・目標達成時期と金額の再設定:
「いつまでに、いくら必要か」という目標が変化すれば、それに合わせて積立額や投資商品の見直しが必要です。例えば、退職時期が近づけば、リスクの低い資産へのシフトを検討するなど、目標達成までの期間に応じてアセットアロケーションを調整することが重要です。

・積立額の見直し:
収入の増減や支出の変化に応じて、積立額の増減を検討しましょう。収入が増えれば、積立額を増やすことで、より早く目標達成に近づける可能性があります。

● 見直しポイント3:市場環境の変化への認識(ただし、頻繁な対応は不要)

個別の銘柄の短期的な値動きに囚われる必要はありませんが、世界経済の大きな潮流や、自身が投資しているインデックスを構成する企業の状況など、長期的な視点での市場環境の変化は認識しておくことが望ましいです。

・グローバルマクロの変化:
例えば、世界的なインフレの進行や、主要国の金融政策の変化など、経済全体に影響を与えるような大きな動きは把握しておきましょう。

・投資先インデックスの状況:
投資しているインデックス(例:S&P500)の構成銘柄に大きな変化があった場合や、特定のセクターに偏りが出ている場合などは、自身のポートフォリオに与える影響を検討することも重要です。

・制度変更の把握:
新NISAのように、税制や投資制度に変更があった場合は、その内容を理解し、自身の投資戦略にどう影響するかを確認しましょう。

ただし、これらの情報に過敏に反応し、頻繁に売買を繰り返すのはNGパターンです。あくまでも、長期的な視点での判断材料として活用し、必要に応じてポートフォリオのリバランスや積立設定の見直しに繋げる程度に留めましょう。

● 見直しポイント4:金融商品の理解度の向上

新NISAの積立設定後も、自分が投資している金融商品について、その特徴やリスクをきちんと理解しているかを確認することは重要です。

・目論見書や運用報告書の確認:
定期的に目論見書や運用報告書を確認し、投資先の運用状況や方針、手数料などに変更がないかを確認しましょう。

・分散投資の状況:
自分が投資している商品が、適切に分散されているかを確認しましょう。特定の地域や資産クラスに偏りすぎていないか、複数のファンドに投資している場合は、それらのファンドが同じような資産に投資していないかなどもチェックポイントです。


■■ まとめ:新NISAの積立投資は「見守る」投資へ

新NISAの積立投資は、基本的には「ほったらかし」で問題ありません。しかし、それは「完全に放置する」という意味ではありません。

「ほったらかし」投資とは、短期的な値動きに一喜一憂せず、感情に流されることなく、設定したルールに基づいて淡々と積立を続けることです。しかし、同時に、定期的に自身のポートフォリオやライフプランを見直し、必要に応じて調整を行う「見守る」投資でもあります。

今回ご紹介したNGパターンを避け、見直しポイントを参考にしながら、自身の状況に合わせた適切なタイミングで資産の見直しを行うことで、新NISAを最大限に活用し、安心して長期的な資産形成を進めていくことができるでしょう。投資はあくまで自己責任ですが、賢く「見守る」ことで、将来の資産形成に大きく貢献してくれるはずです。

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